たべるデザインのコラム

未利用資源青マンゴーの漬物

なぜ今、地域素材を見直すことが未来につながるのか?

1. 地域資源が見直される今、その背景とは

全国各地に根付く農産物、伝統食品、郷土料理。
これらは一見するとローカルで素朴な存在ですが、実は“持続可能な価値”を秘めた資源です。
近年は「地域資源の活用」「フードロス削減」「生活観光」といった文脈からも注目を集めています。

たとえば沖縄では、青パパイヤやアーサ、島らっきょうなど、気候風土と密接に結びついた個性豊かな食材が多く存在します。
こうした素材は、健康性や物語性、持続性をもたせた商品づくりに向いており、ここでしか、今しか買えない素材であることから、消費者にとって買うに値する”魅力的な商品”になりうるのです。


2. よくある“商品開発のつまずき”とは?

一方で、「いい素材がある=売れる商品になる」とは限りません。よくある課題には以下のようなものがあります:

  • 地域の熱意は強いが、売れる形にデザインされていない
  • 商品はできたが、販路や価格設計などのマーケティングが詰めきれていない
  • パッケージやネーミングに個性がなく、売り場で埋もれてしまう
  • 消費者に“なぜこの商品を買うのか”が伝わらない

これらの問題は、素材の価値を翻訳できていないことに起因します。
だからこそ、開発段階で「コンセプト」や「なぜ?」の部分を深掘りし、まずは自分たちが”腹落ち”するところまで理解を深めていくことが重要になります。


3. 地域素材を商品化するために必要な3つの視点

① “背景”を物語として組み立てる

ただ素材を使うのではなく、「どんな人が、どんな場所で、どんな想いをもって作っているのか?」を明確にすることで、商品に個性と物語が宿ります。

② “使うシーン”を明確に想定する

ギフト、レジャー、家庭での食事に、など具体的なシーンを描いて設計することで、購買理由が明確にし、消費者にとって”買う理由のある”商品になります。

③ “ローカル感”を“洗練”に昇華する

「地元らしさ」だけではなく、都市部やECでも通用する洗練されたパッケージやネーミングが重要です。沖縄発の商品でも、東京や海外で支持されるためには、見た目や伝え方の再設計は欠かせません。


4. 沖縄発の商品開発が注目されている理由

沖縄には、他地域と比較してユニークな食文化があり、素材も多彩です。

  • 発酵文化(豆腐よう、泡盛粕など)
  • 機能性の高い野菜(ニガウリ、青パパイヤ)
  • 伝統的な保存技術(天日干し、燻製)

これらの要素は「健康」「サステナブル」「伝統文化」といったキーワードと非常に親和性が高く、ブランディングしやすい素材として高く評価されています。実際に、フードコンサルタントや料理人、デザイナーと連携しながら、“文脈ある商品”をつくる動きが全国で広がっています。


5. まとめ|地域に眠る価値を、未来の市場へ

地域資源は「そのまま」では伝わりにくくても、見つめ直し、言葉にし、整えることで新しい価値を生み出せます。

その第一歩は、「この素材の魅力は何か?」を誰かと一緒に言葉にすること。その過程で、商品はただの“もの”から、“届けたい想い”を乗せた“体験”に変わります。

あなたの町にも、まだ言葉になっていない魅力がきっとあります。
その価値を未来へ届けるために、地域素材を見直す視点から商品開発を考えてみませんか?

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