たべるデザインのコラム

畑の風景が伝わるデザイン

たべるデザイン的デザインの解釈|食を通じた“見えない価値”の設計とは?

「デザイン」と聞くと、多くの人は“見た目の美しさ”や“ロゴ・パッケージ”を思い浮かべるかもしれません。しかし、「たべるデザイン」が考えるデザインは、もうすこし根本的なことを指しています。

私たちは、「食を通じて人と社会の関係性を編み直す」ことそのものが“デザイン”であると考えています。

この記事では、たべるデザインが捉える「デザイン」の意味と、沖縄でのフードコンサルティングや商品開発において、どのようにその視点が活かされているのかを紹介します。


見た目だけじゃない、“関係性”を設計する

たべるデザインの現場では、パッケージの配色やネーミングといった「表層的なデザイン」ももちろん大切にしていますが、最も重視しているのは「人と人」「人と土地」「人と素材」の間にある関係性を、食を通してどう結び直せるか」という視点です。

たとえば、

  • 地元で余っていた規格外の野菜を使って作るスープ
  • 高齢者が作る伝統料理を若い人たちと一緒に再解釈したレシピ
  • 観光客がその土地の風景を「味」として記憶できる土産品

これらはすべて、“見えない価値”を再編集し、「誰かの手に届く形」に翻訳する作業=デザインなのです。


沖縄という土地で、見えない価値に光を当てる

沖縄には、全国に誇れる食材や文化がたくさんあります。しかしその一方で、「売り方がわからない」「価値がうまく伝えられない」と感じている生産者や料理人も少なくありません。

たべるデザインでは、こうした課題に対し、

  • 商品に込められた想いの言語化
  • メニューにストーリー性を持たせる設計
  • 空間・体験と連動させた食の演出
    などを通じて、素材そのものだけでなく、背景や文脈ごと「おいしさ」を届ける支援を行っています。

つまり、ただ「おいしい商品をつくる」だけでなく、「どんな食体験として届けるか」をセットで考える。それが“たべるデザイン的”なアプローチです。


情報発信=デザインである

今の時代、SNSやWebメディアを通じた情報発信もまた「食のデザイン」の一部だと考えています。

商品にどんな写真を使うか、どんな言葉で説明するか、どの順番で伝えるか。
こうした細かな表現のひとつひとつが、受け手に与える印象を変え、売上や共感、リピートにつながります。

たべるデザインでは、商品開発と同時に「情報設計(=伝え方のデザイン)」も支援し、統一感のあるブランディングを行います。
これは、沖縄の観光業や宿泊施設との連携プロジェクトでも重要な鍵となっている部分です。


デザインとは、問いを立て直すこと

たべるデザインにとっての「デザイン」は、表現手法というよりも「問いの立て直し」に近いかもしれません。

たとえば、

  • 「なぜこの料理は、この土地でしか生まれないのか?」
  • 「なぜこの人は、これをつくっているのか?」
  • 「それは、誰の心に届くのか?」

こうした問いに向き合い、答えを探りながら素材と社会、人と土地、想いと形をつなぎ直すプロセスそのものが、デザインの本質だと考えています。


まとめ|食のデザインとは“場”をつくること

「たべるデザイン的デザイン」とは、
食材やメニューの見た目だけでなく、人の行動や関係性、空間や時間の設計にまで及ぶ総合的なプロセスです。

沖縄という土地の持つ風土や文化、社会課題をふまえながら、
“誰が、何を、どんな想いで届けるのか”という物語のある食体験を一緒に構築していく。

たべるデザインでは、そうした視点からフードコンサルティング、メニュー開発、商品企画を行い、
「食を軸にしたブランドづくり」「社会とのつながりのデザイン」を実践しています。


表層の装飾だけではない、“生きたデザイン”を食の現場から。
それが、私たちの目指す「たべるデザイン」です。

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