たべるデザインのコラム

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地域食材を活かす商品開発とは?今注目の“ローカル×デザイン”戦略

近年、「ローカル×デザイン」という言葉が、食の分野でも注目を集めています。ただ単に“地元のものを使う”のではなく、地域資源を見つめ直し、現代的な価値を吹き込むこの考え方は、持続可能な社会を目指すうえでも重要なアプローチです。

では、地域食材を活かした商品開発とは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか?その鍵を握るのが「編集」と「物語性」です。


地域食材の“価値”を再編集する

たとえば、沖縄でよく見かける島野菜や未利用魚。地元では「ありふれたもの」とされている食材でも、視点を変えるだけで、唯一無二の魅力が立ち上がってきます。

ここで重要になるのが“編集”の視点。食材そのものの味や栄養価だけでなく、その背景にある文化や風土、人の手間ひまに光を当てることで、食材は単なる「素材」から「伝えるべき価値」へと変わります。

商品開発においても、素材の特徴をどう活かすかだけではなく、どのように伝えるかが成否を分けます。パッケージ、ネーミング、写真、ストーリーテリングなど、デザインの力を借りて、地域の魅力を“見える化”することが欠かせません。


今こそ求められる「小さな物語」

現代の消費者は、単なる「便利さ」や「安さ」だけでは動かなくなっています。むしろ、背景にあるストーリーや思想に共感できるかが購買動機になることも多い時代です。

地域の食材は、それぞれに小さな物語を宿しています。たとえば、「廃棄されていた規格外野菜を使って、子ども向けのスナックを開発」「地元の漁師と協業し、未利用魚を使った加工品を展開」など。こうした背景は、消費者の心を動かす強いメッセージになります。

“ローカル×デザイン”とは、単なる見た目の美しさではなく、「地域の文脈を丁寧に汲み取り、それを社会に伝える設計」のことなのです。


成功事例に見る「ローカル×デザイン」の力

全国的に見ても、地域資源を活かしたブランドが続々と生まれています。長野県では、野沢菜を用いた数々の加工品が、海外からの注目を集めています。また、青森県の六ヶ所村では、寒冷地でしか育たない在来種の豆を使った豆スイーツが、ギフト市場で静かな人気を博しています。

どれも共通しているのは、「地元の素材」と「丁寧な編集」が融合している点です。単に地産地消を促すだけでなく、“どう伝えるか”、“どこで売るか”という設計をきちんと組み込むことで、持続可能な商品に育てることができます。


「地域」と「社会」をつなぐために

商品開発は、単にモノをつくる行為ではありません。地域の課題や資源、暮らしの知恵を丁寧にすくい上げ、社会にどう届けるかを設計する営みです。

いま、私たちに求められているのは、「地域を守る」という発想から一歩踏み込み、「地域を編集し、未来へつなぐ」視点です。そこには料理人やデザイナー、編集者、プロデューサーなど、異なる視点を持つ人々の協働が必要不可欠です。

「ローカル×デザイン」は、ただのトレンドではありません。これからの食の在り方を考えるうえでの、新しいスタンダードなのです。


まとめ

“ローカル×デザイン”による商品開発は、地域に根ざした素材を現代の価値観と掛け合わせ、新たな命を吹き込む行為です。ただ食材を使うのではなく、その背景にある物語や人の営みを含めて、丁寧に編集・発信していく姿勢が問われます。

小さな地域の声が、デザインの力で広く届く時代。だからこそ、ローカルを大切にすることが、次の時代のビジネスにも、文化の継承にもつながっていくと考えています。


食で地域を盛り上げたい!とお考えの方。
ぜひ一度私たちたべるデザインにご相談ください。

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