地域おこしにおけるフードデザイン5つの役割

― 沖縄の資源を活かし、“売れる加工品”を生み出す仕組み ―

近年、「沖縄地域おこし」の現場で注目を集めているのが、“食”を起点に地域を再編集する「フードデザイン」というアプローチです。食材や伝統料理をただ商品化するだけでなく、地域資源の活かし方をデザインするこの手法は、観光にも地元住民にも愛される“売れる加工品”を生むヒントにあふれています。

この記事では、沖縄を事例にしながら、地域おこしにおいてフードデザインが担う5つの役割を解説します。

1. 地域資源の“再発見”を促す

沖縄には、離島の未利用魚、規格外野菜、伝統発酵調味料、消えゆく家庭料理など、まだまだ活用されていない食資源が数多く眠っています。フードデザインは、こうした素材に光を当て、「どこにでもあるもの」ではなく「この土地にしかないもの」として再定義します。

例えば、傷がついて出荷できなかったフルーツを素材に使ったジャムや、昔ながらの豚味噌をパッケージごと現代風にリデザインした商品などは、「沖縄売れる加工品」として成功した事例の一つです。

現代の消費者は、単に味や値段だけでなく、「どんな背景があるか」「誰が作っているのか」に価値を感じています。フードデザインは、商品の背後にある生産者の想いや風景を言語化し、デザインや発信に反映させることで、感情に訴える商品を生み出します。

たとえば、読谷村の陶芸家とコラボし、島豆腐を使ったお菓子をオリジナル器で提供する企画は、単なる商品を“体験”に変える工夫です。

生産者は良いものを作れても、それを市場で「売れる形」にするには別のスキルが必要です。フードデザインはその橋渡し役となり、見せ方・伝え方・価格帯・販路設計などを整理して、商品の魅力がきちんと伝わる構造をつくります。

特に、沖縄のように観光とローカルが共存する地域では、「観光客にウケるパッケージ」と「地元で日常使いされる仕様」を両立させる商品設計が重要です。

売れる商品が生まれれば、地域に経済が巡ります。農家が出荷できなかった野菜に価格がつく、加工場の稼働が増える、デザインを地元のクリエイターに依頼する——こうした小さな循環が、「沖縄地域おこし」においては特に価値を持ちます。

単に「地産地消」ではなく、「地産他消（地域で生まれた価値を外へ届ける）」の仕組みづくりを、フードデザインは支援するのです。

商品単体の開発だけでなく、イベント・マルシェ・ポップアップショップ・ECサイトなど、「売る場」そのものもフードデザイナーが設計することで、持続可能な関係性が生まれます。

沖縄県内でも、地域の生産者や職人など「つくる人」を集めた「つながるマーケット」や、ホテルと連携した食のポップアップなどが増えており、食と地域をつなぐ接点づくりにおいてフードデザインの力が求められています。

地域の魅力を伝えるために、必要なのは“特別なもの”ではありません。むしろ、その土地の日常にある素材や技術、人の想いこそが、未来につながる資源になります。

フードデザインは、それらを見つけ、磨き、つなぎ直す仕事です。

「沖縄　地域おこし」に関わるすべての方へ。
“売れる加工品”を作ることはゴールではなく、地域に人とお金と想いを還元するスタートです。

あなたの町の魅力も、食から形にしてみませんか？

たべるデザインでは、経験豊富な料理人でありフードデザイナーでもある代表上江田があなたの”作りたい”に寄り添います。
まだ形なになっていなくても構いません。
今の思いをお聞かせください。
相談は無料です。